「科学の原理と人間の原理」⑦

《故 高木仁三郎さんの紹介》

一九三八年生まれ、二〇〇〇年大腸癌にて死去、六二歳。物理学者、理学博士。専門は核化学。群馬県前橋市出身。東京大学理学部化学科卒業。東京大学原子核研究所助手、都立大学助教授などをへて、一九七五年に政府の原子力政策について自由な見地から分析・提言を行う為、原子力業界から独立したシンクタンク・「原子力資料情報室」を設立、代表を務めた。

市民科学者として原発問題で多くの著作を残した。原子力発電の持続不可能性、プルトニウムの危険性などについて、専門の立場から警告を発し続けた。特に、地震の際の原発の危険性を予見し、地震時の対策の必要性を訴えたほか、脱原発を唱え、脱原子力運動を象徴する人でもあった。原子力発電に対する不安、関心が高まった一九八〇年代末には、新聞・テレビ等での発言も多かった。3・11以後に再び多数のマスコミに紹介される。

 

― 編 集 後 記 ―

『科学の原理と人間の原理』は、故高木仁三郎氏が一九九一年二月二十二日に、真宗大谷派金沢教務所での講演を、二〇一一年五月に「真宗大谷派金沢教学研究室修了生の会」が急遽講演録として発行されたものです。

その講演録の「まえがき」に久仁子夫人より、仁三郎氏の亡くなる直前の「友へ」と題したメッセージが紹介されているので最後に紹介する。

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 「原子力時代の末期症状による大事故の危険と結局は放射能廃棄物がたれ流しになっていくのではないかということに対する危惧の念は、今、先に逝ってしまう人間の心を最も悩ますものです。

後に残る人々が、歴史を見通す透徹した知力と、大胆に現実に立ち向かう活発な行動力をもって、一刻も早く原子力の時代にピリオドをつけ、その賢明な終局に英知を結集されることを願ってやみません。

私は何処かで、必ず、その皆さまの活動を見守っていることでしょう。 いつまでも皆さんとともに

高木仁三郎

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このメッセージに応えることが、「フクシマ」という現実を体験した今の私達の責務と思う。

 (「念仏者九条の会・山口」事務局)

 

『科学の原理と人間の原理』を希望される方は少し在庫がございます。(A5版一〇六頁・一部三百円)
この『講演録要旨』は無料にておわけします。何れも「念仏者九条の会・山口」事務局まで。